辨 |
コウホネ属 Nuphar(萍蓬草 píngpéngcăo 屬)には、約15種がある。
N. bornetii(貴州萍蓬草)
ナガレコウホネ N. × fluminalis コウホネとシモツケコウホネの雑種
ホッカイコウホネ N. × hokkaiensis コウホネとネムロコウホネの雑種
コウホネ N. japonica(日本萍蓬草)
ベニコウホネ f. rubrotincta(N.subintegerrima f.rubrotincta)
サイジョウコウホネ var. saijoense 広島県特産、花の柱頭盤が赤い。
ナガバコウホネ var. stenophylla
'クチベニ'
N. lutea(歐亞萍蓬草) 歐亞(シベリア・新疆以西)・北アフリカ(アルジェリア)産
オグラコウホネ N. oguraensis(N.pumila subsp.oruraensis)
絶滅危惧Ⅱ類(VU,環境省RedList2020)
ベニオグラコウホネ var. akiensis
N. pumila(N.lutea subsp.pumila;萍蓬草・萍蓬蓮・黃金蓮) 歐亞温帯産
オゼコウホネ var. ozeensis 絶滅危惧Ⅱ類(VU,環境省RedList2020)
ウリュウコウホネ f. rubro-ovaria
ネムロコウホネ var. pumila(subsp.pumila) 『中国本草図録』Ⅵ/2573
絶滅危惧Ⅱ類(VU,環境省RedList2020)
IPNIによれば、subsp.pumilaはオゼコウホネ・ウリュウコウホネ・タイワンコウホネ等を含む
subsp. sinensis(N.sinensis;中華萍蓬草) 貴州産
サイジョウコウホネ N. × saijoensis(N.japonica var.saijoensis)
コウホネとサイジョウコウホネの雑種
サイコクヒメコウホネ N. saikokuensis
タイワンコウホネ N. shimadai(臺灣萍蓬草)
ヒメコウホネ N. subintegerrima(N.japonica var.subintegerrima)
シモツケコウホネ N. submersa 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
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スイレン科 Nymphaeaceae(睡蓮 shuìlián 科)については、スイレン科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ河骨ノ意ニシテ此草能ク河ニ生ジ其根莖ノ狀宛モ白骨ノ如ケレバ云フ、藥舖ニテハ之レヲ川骨(せんこつ)ト呼ベリ」(『牧野日本植物圖鑑』)。
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『本草和名』及び『倭名類聚抄』骨蓬に、「和名加波保祢」と。
『大和本草』に、「萍蓬草(カハホネ)」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』萍蓬草に、「カハホネ 骨蓬和名鈔 骨髄和方書 カハ同上 カハト仙台 タイコノブチ」と。 |
漢名のうち、萍(ヘイ,píng)はウキクサ、蓬(ホウ,péng)はエゾムカシヨモギ(所謂飛蓬 fēipéng・轉蓬 zhuànpéng)、萍蓬(ヘイホウ,píngpéng)と熟せばウキクサのように水に浮かび、蓬のように風に転がり、行方の転々として定まらないこと。 |
属名 Nuphar は、アラビア語の neufar(スイレン)から。 |
説 |
日本(北海道西南部乃至九州)・朝鮮に分布。
埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)。 |
誌 |
中国では、萍蓬草の実・根は 救荒食物。また、その根茎を薬用にする。
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日本では、生薬センコツ(川骨)は コウホネ、ネムロコウホネ又はそれらの種間雑種の根茎を縦割したものである(第十八改正日本薬局方)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「おかかうほね 中末。花金色、葉ハミづあふひニ似ていさぎよき物なり」「八重かうほね 中末。おかかうほねのせんやうなり」と。 |
河骨の二もとさくや雨の中 (蕪村,1716-1783)
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南谷(みなみだに)ふりにし跡にわが来ればかすかにのこる河骨(かはほね)の花
(1930「羽黒」,斎藤茂吉『たかはら』)
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